大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和40年(ワ)6273号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕以上認定の事実によれば、原被告間に本件建物売買の仲介についての委託契約が成立し、被告は原告の尽力により本件建物の見分等をしたものであるところ、被告はその後同年五月下旬頃から前記臼井を仲介人として原告の尽力を無視して本件建物について相互銀行との売買交渉をなさしめ、その結果該売買契約を成立せしめて、前記所有権移転登記を経るに至つたが、その間原告を無視して全く知らせなかつたばかりか、原告の仲介後にその事情を知つた臼井を仲介に立たせて僅々一カ月前後の間に全然別異の契機によつたもののようにして該売買の成立を見るに至つたものであるから、原告の尽力が右売買成立について一機縁をなしていることは十分窺えるとともに、右は原告を除外して直接取引をしたものであることは明らかである。ところで、<証拠>と弁論の全趣旨を併せ考えれば、東京都における宅地建物取引業界においては業者が依頼を受けてその売買を斡旋して契約成立の機縁をつくつたのち、依頼者が業者を排除して直接取引を成立せしめたような場合には、たとえ業者が売買契約の締結(直接取引)については関与しえなかつたとしても、これが自己の仲介によつて成立したと同様の東京都告示第八九八号(昭和四〇年建設省告示第一一七八号)に定める額による報酬を依頼者に請求しうるとの慣行があり、その額の定めが原告主張のとおりであることが認められ、本件において原被告間に右慣行によらない旨の特約その他特段の事情が存したものとする証拠はない。したがつて、被告は原告に対し、右告示によつて算定した金一三五万円の報酬を支払うべき義務がある。(中橋正夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!